不動産投資

家賃保証会社は必要?体験した未加入のリスク

家賃保証会社に入っていない入居者が5世帯。保証会社未加入と聞いて、不安を感じる人もいると思います。2020年に、そのようなアパートを買いました。

なぜ買ったのか。ひとつは、担保評価が高かったからです。そしてもうひとつ、保証会社に入っていないことは避けるべき地雷ではなく、扱えるリスクだと判断したからでした。

私は本業で賃貸管理の仕事もしています。保証会社なしの部屋で滞納が起きると現場がどう動くか、これまで何度も見てきました。だから未加入のリスクは、最初から計算に入れていました。

結果を先に言うと、約6年運営して、家賃の滞納が起きたのは1回だけです。いまでも買ってよかったと思っています。ただ、同じ判断を誰にでも勧められるかというと、それは違います。保証会社に入っていない物件を買うなら、その前に確認しておくべきことがあるからです。

全5世帯が保証会社未加入。それでも2020年に買った理由

2020年、私は2棟目として中古の一棟アパートを買いました。全5世帯で、月の賃料合計は25万円ほど。数字だけ見れば、悪くない物件でした。

購入前の資料を見た段階で、ひとつ確認しておくべき点がありました。全5世帯とも、家賃保証会社に加入していなかったんです。代わりに、それぞれ連帯保証人が設定されていました。

🏠 購入した2棟目アパートの概要(2020年) 種別中古一棟アパート 世帯数全5世帯 月額賃料合計約25万円 家賃保証会社全世帯 未加入 連帯保証人設定あり

保証会社未加入と聞くと、それだけで候補から外す人も少なくないと思います。家賃を滞納されても回収の後ろ盾がない、という不安があるからです。その不安自体は、間違っていません。

それでも私が買ったのは、担保評価が高く、投資としての旨味がはっきりしていたからです。保証会社未加入というマイナスを差し引いても、トータルで買う価値がある。そう判断しました。

大事なのは、保証会社に入っていないという一点だけで物件を判断しないことだと思います。それが扱えるリスクなのかどうか。私の場合は担保評価の高さと連帯保証人の存在を見て、扱えると踏みました。

実際に起きていた、家賃の支払い遅延

保証会社に入っていない5世帯を、私は約6年運営してきました。そのあいだ、家賃の滞納が起きたのは1回だけです。

未加入である以上、多少の遅れは覚悟していました。でも、実際はほとんど遅れなかった。その覚悟が拍子抜けするくらい、家賃はきちんと入ってきました。

購入時点で、入居者のなかには生活保護を受けている世帯もありました。ただ、入居者の属性と滞納を安易に結びつけるべきではないと考えています。少なくとも私が約6年間運営した物件では、保証会社未加入の5世帯で滞納が起きたのは1回だけでした。

1回だけ起きた滞納も、管理会社が入居者に連絡を取り、状況を確認しながら対応を進めてくれました。

とはいえ、これはあくまで結果論です。滞納が長引いたり、回収そのものができなくなったりしたとき、保証会社に入っていない物件が本当はどうなるのか。そこは、良かった結果とは切り離して考えておく必要があります。

保証会社に入っていないと、オーナーに何が起こるのか

私の物件に付いていたのは、保証会社ではなく連帯保証人でした。この2つは似たものに見えて、いざ滞納が起きたときの動き方がまるで違います。

家賃保証会社が付いている場合、入居者が家賃を滞納すると、保証会社がオーナーに家賃を立て替えて支払います。これを代位弁済といいます。立て替えたお金は、そのあと保証会社が入居者に請求して回収していきます。オーナー側の督促・回収負担を軽減でき、契約で定められた範囲では滞納家賃の保証を受けられます。ここが大きな安心材料です。

一方、連帯保証人しかいない場合は、督促も請求も、基本はオーナーや管理会社が自分で動くことになります。連帯保証人が必ず応じてくれるとも、支払い能力があるとも限りません。

さらに、2020年4月1日以降に新たに締結する個人の根保証契約では、連帯保証人が負担する上限となる極度額を定める必要があります。極度額を定めていない保証契約は無効です。ただし、2020年4月より前から続く既存契約には経過措置があるため、一律に無効になるわけではありません。いずれにせよ、連帯保証人がいても、責任を負うのは決めた上限額までです。青天井で守ってくれるわけではなくなりました。

連帯保証人と家賃保証会社の違い 連帯保証人 滞納は自分で請求 動くのはオーナー側 責任は極度額まで 2020年の民法改正で上限を明記 家賃保証会社 家賃を立替(代位弁済) 督促・回収を代行 保証範囲はプラン次第 会社・プランで対象が変わる

ここで、ひとつ誤解しやすい点があります。保証会社に入ってさえいれば、何もかも守られる。そう思われがちですが、そうではありません。何をどこまで保証してくれるかは、会社やプランによって大きく変わります。

基本になるのは、家賃や共益費、管理費、駐車場代といった毎月の債務です。会社によっては、更新料や、明渡し訴訟にかかる費用、退去後の原状回復費用、残置物の撤去費用まで対象になることもあります。ただし、保証の項目に入っていても支払いに上限額が決められている場合があります。同じ会社でも、プランが違えば範囲も保証料も変わります。

だから、保証会社に入っているかどうかだけでなく、どの範囲まで守られるプランなのかまで見て、初めてリスクの大きさが分かります。原状回復も訴訟費用も自動でカバーされる、と思い込むのは危険です。

入居中の部屋に、途中から保証会社をつけられるのか

保証会社に入っていない部屋を買ったあと、いちばん気になるのは、あとから加入させられるのかどうかだと思います。途中から加入できる場合もあります。ただし、保証会社の審査や契約条件などによります。

まず、すでに住んでいる入居者に途中から保証会社をつけるには、その入居者本人の同意が必要です。オーナーの一存で、契約の途中から「来月から保証会社に入ってください」と押し付けることはできません。

加えて、保証会社の審査もあります。入居者が申し込めば必ず通るわけでもありません。だから、いつでも好きなときに全部まとめて加入させられる、とは考えないほうがいいです。

現実的に加入を進めやすいのは、契約を更新するタイミングや、入居者が入れ替わるタイミングです。新しく入る人には、最初から保証会社への加入を条件にできます。

私の場合も、既存の5世帯に無理やり加入させることはしませんでした。滞納がほとんどなかったこともあって、いま住んでいる人はそのまま。代わりに、退去して部屋が空き、新しい入居者を迎えるときには、保証会社への加入を前提に契約しています。

📉 未加入の部屋は、入れ替わりで減った 購入時(2020年) 未加入 5世帯 退去や入れ替わりで 新規は保証会社へ加入 現在(約6年) 残り 2部屋ほど

この進め方なら、保証会社なしの部屋は、入れ替わりのたびに一つずつ減っていきます。未加入のリスクは買った瞬間がいちばん大きく、あとは時間とともに小さくなっていく。私が扱えるリスクだと判断できたのは、この見通しがあったからです。

実際、6年たったいま、購入時から残っている入居者は2部屋ほど。ほかは入れ替わり、新しく入った人はいずれも保証会社に加入済みです。買った当初にくらべれば、未加入の部屋はずいぶん減りました。

全世帯加入なら12万5,000円。私が本気で悩んだ負担

保証会社に入っていない5世帯を、全部加入させる。それをオーナーの私が負担してやろうとすると、いくらかかるのか。2021年当時、私が出した見積もりは12万5,000円でした。

保証会社の初回保証料は、賃料のおおむね半分ほど。会社やプランで幅はありますが、当時はそのくらいで見ていました。5世帯の賃料合計は25万円。その半分で、12万5,000円という計算です。これはあくまで当時の試算です。

💰 全5世帯を自腹で加入させた場合(2021年の試算) 賃料合計 25万円 × 初回保証料 約50% = オーナー負担 12万5,000円 ※初回保証料は会社・プランで異なります。当時の試算です。

なぜオーナーの私が負担してまで、と思うかもしれません。本来、保証料は入居者が払うものです。でも、すでに住んでいる人に「新たに保証会社へ入って、保証料も払ってください」とお願いするのは、簡単ではありません。すんなり同意してもらうために、初回の保証料はこちらで持つ。そういう選択肢を考えていました。

12万5,000円を払えば、5世帯すべてに回収の後ろ盾がつきます。滞納が起きても、契約条件の範囲で代位弁済を受けられる。安心はお金で買えます。ただ、その安心に12万5,000円を先払いする価値があるのか。そこが読めませんでした。滞納が起きるかどうか、当時はまだ分からなかったからです。

結局、私は自腹での一括加入を見送りました。既存の入居者はそのままにして、退去や入れ替わりのタイミングで、新しい人から保証会社に加入してもらう。時間はかかるけれど、余計な12万5,000円は使わない。その道を選びました。

あのあと、家賃の滞納が起きたのは1回だけ。回収も管理会社の対応で収まりました。結果だけ見れば、12万5,000円を先に払わなくても、大きな痛手はなかったことになります。

ただ、これはあくまで私の物件で起きたことです。もし滞納が続いたり、回収できない入居者に当たっていたら、12万5,000円を惜しんだことを後悔していたかもしれません。同じ選択が、誰にとっても正解になるわけではありません。

「役所から払われるから安心」は本当か——生活保護と代理納付

保証会社の話をすると、ときどき「生活保護の入居者なら、役所が家賃を払ってくれるから安心なのでは」と言われます。これは半分正しくて、半分は正確ではありません。

生活保護を受給しているからといって、すべてのケースで自治体から家主へ直接家賃が振り込まれるわけではありません。一方で、住宅扶助には、福祉事務所が受給者に代わって家主などへ直接支払う「代理納付」という仕組みがあります。

以前は、家賃を滞納している場合、公営住宅、住宅セーフティネットの登録住宅などを中心に原則適用とされていましたが、2024年7月の通知改正により、それ以外の場合についても原則として代理納付を適用する運用となりました。ただし、口座振替で住宅扶助の目的を達成できる場合や、家主が希望しない場合などには適用しないことがあります。

🏛 住宅扶助の受け取り方は2通りある ① 本人が受け取って支払う 役所 受給者本人 家主 お金が本人を経由するため、使い道によっては滞納が起こり得ます ② 代理納付(自治体が家主へ直接) 役所 住宅扶助を直接 家主 自治体が家主へ直接支払うため、支払いが安定しやすい

また、2025年10月に始まった「居住サポート住宅」では、生活保護受給者が入居し、一定の要件を満たす場合、住宅扶助費の代理納付が法律上も原則化されています。

そのため、生活保護だから必ず役所から直接家賃が入る、と考えるのではなく、実際にその部屋がどの支払い方法になっているのかを確認することが重要です。代理納付なのか、保証会社が付いているのか、連帯保証人だけなのか。そこを確認できるかどうかが、滞納リスクの大きさを決めます。

私の物件でいえば、生活保護の世帯がいたこと自体は、リスクではありませんでした。実際、滞納は6年間で一度きりでした。大事だったのは属性ではなく、それぞれの家賃がどう支払われているかを、購入前に把握しておくことでした。

約6年運営して分かった、中古アパートで買う前に見るべきこと

中古の一棟アパートを買うとき、多くの人はレントロールを見て利回りを確かめます。私もそうでした。でも、6年運営していちばん感じるのは、レントロールを見るだけでは足りない、ということです。

レントロールに並んだ家賃の数字が、そのまま毎月入ってくるとは限りません。その家賃が、どんな後ろ盾で、どう支払われているのか。そこまで見て、はじめて本当の利回りが見えてきます。

📌 中古アパートを買う前に確認したい6つのこと 保証会社の加入状況 ——加入の有無と、保証されるプランの範囲 過去の滞納履歴 ——いまの入居者に支払い遅延がなかったか 連帯保証人 ——設定の有無と、極度額(2020年の民法改正) 家賃の入金方法 ——代理納付や口座振替など、どう入ってくるか 管理会社の滞納対応 ——滞納が起きたとき現場が実際にどう動くか レントロールを鵜呑みにしない ——数字がそのまま入るとは限らない 既存入居者のいる中古物件ほど、ここが差になる

このなかで、いちばん見落とされやすいのは、家賃の入金方法と、管理会社の滞納対応だと思います。保証会社に入っているかどうかは、資料を見れば分かります。でも、滞納が起きたとき現場がどう動くかは、契約書には書いてありません。ここは買う前に、管理会社に直接聞いておく価値があります。

私は保証会社に入っていない物件を買って、結果的にはうまくいきました。ただ、それは担保評価が高く、滞納も少なかったからです。もし同じ物件を、中身も確かめず利回りだけで買っていたら、たぶん違う結末になっていた。買う前に一つずつ確認したからこそ、扱えるリスクだと判断できたんだと思います。

家賃保証会社は必要か。私の答えは、必ずしも必須とは限らない、です。物件と入居者、そして家賃の入り方しだいで、答えは変わります。だからこそ、入っているかどうかを確認したうえで、足りない部分をどう埋めるかを自分で決める。それがいちばん現実的だと感じています。

まずは、いま検討している物件、あるいはすでに持っている物件について、家賃がどう支払われているかを確かめてみてください。保証会社の加入状況と、滞納が起きたときの対応。この2つが分かるだけでも、物件の見え方は変わってきます。

是非参考になれば嬉しいです!