不動産知識

アパート賃料を上げると売却金額が100倍変わる|不動産投資の賃料戦略

こんなことを感じたことはありませんか?

  • 「空室が続くから、とりあえず賃料を下げようか…」
  • 「賃料を少し上げたいけど、入居者が離れないか不安」
  • 「賃料の調整が売却金額に影響するって聞いたけど、どれくらい?」

実は、賃料の設定は”今の収入”だけでなく、将来の売却金額にも直結する、非常に重要な判断です。

今回は私が実際に保有する桶川アパートで実践した賃料引き上げの話をもとに、その効果と注意点をまとめてみました。

この記事を読み終えたあと、あなたはこんな状態になれます。

  • 賃料1万円の違いが売却金額に100万円以上の差を生む仕組みを理解できる
  • 賃料を上げるべきタイミングと、やってはいけない判断がわかる
  • 長期的な資産形成につながる賃料戦略の考え方を持てる

結論からお伝えします。賃料は「安易に下げない」ことが、不動産投資で長期的に資産を守る鍵です。

賃料を月1万円上げると、売却金額が100万円変わる

不動産の売却価格は、多くの場合「利回り」で決まります。

利回りとは、年間の家賃収入を物件の購入価格で割った数値のことです。たとえば、年収400万円の物件を利回り10%で売却する場合、売却価格は4,000万円になります。

利回り=年間家賃収入 ÷ 物件価格。賃料が上がれば、売却価格も上がる。

つまり、賃料を上げると「今もらえる家賃が増える」だけでなく、「将来の売却金額も上がる」という二重の恩恵があるんです。

実際の数字で見てみましょう。まずは私の桶川アパートのデータです。

🏠 桶川アパート|賃料と利回りの変化 📅 購入当時 満室賃料 ¥327,000 /月 年間収入 ¥3,924,000 利回り 11.54% 📅 現在(満室達成) 満室賃料 ¥338,000 /月 年間収入 ¥4,056,000 利回り 11.93% 賃料アップ 月 +¥11,000 年間 +¥132,000 ※利回り +0.39% 残り1部屋上げれば利回り12%到達見込み

月々でいうと1万1,000円の差ですが、この変化が将来の売却金額にどう響くか——次のセクションで見ていきましょう。

📊 地方別|アパート平均利回りの目安 エリア 平均利回り(表面) 傾向 東京都心 4〜6% 価格高め・利回り低め 首都圏郊外(埼玉など) 8〜12% バランス型・流動性あり 地方都市 10〜15% 高利回り・流動性注意 ※表面利回り=年間賃料収入÷物件価格×100。実質利回りは経費を差し引いた数値。 出典:健美家「収益物件市場動向レポート」をもとに作成(概算値)

📎 参考:健美家「収益物件市場動向」

賃料アップが売却金額に与える影響を計算してみた

不動産の売却をざっくりイメージするために、「利回り12%で売却できた場合」を仮定して計算してみます。

📊 売却金額シミュレーション(利回り12%想定) 条件 売却金額(試算) 購入時の賃料(月32.7万円) 年収 ¥3,924,000 ¥32,700,000 現在の賃料(月33.8万円) 年収 ¥4,056,000 ¥33,800,000 売却金額の差 ¥1,100,000(約110万円)の差!

月々たった1万1,000円の賃料アップが、売却時に約110万円の差を生むことがわかります。これが「賃料アップの効果は今もらえる賃料の約100倍」と言われる理由です。

📈 全国|木造アパート賃料推移(参考) 2019 2020 2021 2022 2023 2024 2025 賃料は緩やかな上昇トレンド。賃料を維持・引き上げる環境は整いつつある。 出典:国土交通省「不動産価格指数」をもとにイメージ作成(概念図)

📎 参考:国土交通省「不動産価格指数」

なぜ今回、賃料を上げることができたのか

賃料を上げるのは簡単ではありません。今回うまくいった理由は、購入当初から賃料が相場より1割程度低かったからです。

退去が出るタイミングで少しずつ相場に近づけていく——これが私の基本戦略です。

✅ 賃料引き上げが成功した3つの条件 購入時の賃料が相場より約1割低かった 「値上げ余地」がある物件を選んでいた 退去のタイミングごとに少しずつ調整した 一気に上げず、段階的に相場へ近づけた 無理に上げず、相場に近い「現実的な設定」にした

焦らず、退去のたびに少しずつ調整していく。この積み重ねが、9ヶ月越しの満室につながりました。

📊 都市別|賃貸アパート空室率の目安 10.8% 東京 12.4% 埼玉 11.6% 神奈川 13.2% 大阪 18.5% 全国平均 首都圏は全国平均より空室率が低く、賃料を維持しやすい傾向にある。 出典:総務省「住宅・土地統計調査(2023年)」をもとに概算値で作成

📎 参考:総務省「住宅・土地統計調査」

安易に賃料を下げてはいけない理由——退去コストを計算すると見えてくる

空室になると焦りますよね。「とにかく早く埋めたい」という気持ちから、賃料を下げがちです。でも、ちょっと待ってください。

退去が出るたびに、オーナー側には大きなコストがかかっています。

⚠️ 退去1回あたりにかかる主なコスト コスト項目 目安(月4万円の部屋) リフォーム費用(賃料2〜3ヶ月分) 約 8〜12万円 空室期間の機会損失(賃料2ヶ月分) 約 8万円 募集費用・仲介手数料(賃料2〜3ヶ月分) 約 8〜12万円 合計目安:賃料の 6〜8ヶ月分 月4万円の部屋なら 約24〜32万円が吹き飛ぶ

つまり、相場より少し高い賃料で入居者を獲得しても、短期間で退去されてしまった場合、再募集コストで帳消しになってしまうことがあります。

📊 入居者タイプ別|平均居住期間の目安 単身・学生 約2〜3年 ファミリー世帯 約4〜6年 高齢者・長期入居 6年以上 出典:国土交通省「住生活総合調査(参考値)」をもとに概念図として作成

📎 参考:国土交通省「住生活総合調査」

「空室よりましだから賃料を下げる」という判断が、長期的には売却金額の低下につながっている——このことを知っておくだけで、判断の質が変わります。

退去コストは賃料6〜8ヶ月分。頻繁な退去は賃料アップ分を帳消しにする。

賃料を下げずに空室を埋める3つのアプローチ

では、賃料を維持しながら入居者を見つけるには、どうすればいいか。私が意識している方法を3つお伝えします。

🌿 賃料を維持しながら空室を埋める方法 1 設備の充実・アップグレード Wi-Fi完備・宅配ボックス設置など付加価値で差別化 2 入居特典の付与 フリーレント(初月無料)・引越し補助など一時的な特典で訴求 3 募集力の強化 写真の質・物件情報の充実・複数の仲介業者への依頼

賃料を下げると即効性がある一方で、長期的なデメリットは大きい。まずはこれらの工夫で差別化を試みることが先決です。

🏆 入居者が賃貸選びで重視する条件(参考) 1位 家賃・管理費(価格) 84% 2位 最寄り駅からの距離・交通利便性 71% 3位 設備・仕様(Wi-Fi・宅配BOXなど) 56% 4位 築年数・内装の状態 45% 出典:LIFULL HOME’S「住まい探しの条件に関する調査」をもとに概算値で作成

📎 参考:LIFULL HOME’S プレスリリース・調査データ

築年数・物件の状況別|賃料戦略の考え方

すべての物件に同じ戦略が当てはまるわけではありません。物件の状況によって、適切な判断は変わってきます。

📋 物件状況別の賃料戦略 物件の状況 賃料の方向性 ポイント 相場より低い (今回の桶川アパート) 段階的に引き上げ 退去のタイミングで 少しずつ相場へ 相場どおり (築浅・競合多い) 基本は維持 下げる前に設備・ 特典で差別化 相場より高い (長期空室が続く) 慎重に見直し 売却金額より 稼働率を優先も検討 ※物件・市場状況によって判断は異なります。専門家への相談も活用してください。

「賃料を上げる」にも「賃料を維持する」にも、物件の置かれた状況を正確に把握することが大前提です。感覚ではなく、地域の相場データをもとに判断することをおすすめします。

📎 賃料相場の確認:SUUMO(賃料相場検索) / LIFULL HOME’S(賃料相場)

まとめ——賃料は「今」だけでなく「将来」も見て設計する

アパート経営における賃料設定は、毎月の収入だけでなく、将来の売却価格にも大きな影響を与えます。

今回の桶川アパートの話をまとめると、こうなります。

📌 この記事のまとめ 月1万円の賃料アップは、売却で約100万円の差になる 退去コストは賃料6〜8ヶ月分——安易な値下げは長期的に損 賃料を下げる前に設備・特典・募集力の強化で差別化を 投資判断はご自身の責任のもとで。税務・法律は専門家へご相談ください。 ※数字・試算はあくまで参考です。市場状況によって異なります。

「空室だから賃料を下げる」という反射的な判断をする前に、まず退去コストの計算と地域相場の確認をしてみてください。

それが、長期的な資産形成につながる不動産投資の第一歩です。