
一棟アパートを探していると、こんなところで手が止まりませんか。
- 物件価格は分かるけれど、現金をいくら用意すれば買えるのかが分からない
- 「フルローンが出れば自己資金ゼロで買える」と聞いたことがある
- 「初期費用は物件価格の7〜8%」という記事は読んだが、自分に当てはまるのか不安
- 買付を入れる直前で、貯金残高を見て怖くなる
一棟アパートを購入するときに必要なのは、物件価格だけではありません。仲介手数料、登記費用、不動産取得税、融資関連費用、火災保険料。物件価格とは別に、数百万円単位の現金が出ていきます。
私自身、2019年と2020年に一棟アパートを2棟購入しました。購入価格は合計7,700万円です。
この記事では、一般的な初期費用の説明だけで終わらせません。私が実際に2棟を購入したときに、何に、いくら支払ったのかを1円単位で公開します。
読み終えるころには、「4,000万円前後の一棟アパートを買うには、自分の場合いくら現金を準備すればいいのか」を、自分で計算できる状態になっているはずです。
先に結論を書きます。必要な現金は「物件価格の◯%」では決まりません。融資条件で決まります。
実際、私が買った2棟は物件価格の差がわずか900万円です。それなのに、購入に必要だった現金は619万円も違いました。
なぜこれだけの差が生まれたのか。順番に見ていきましょう。
一棟アパート購入時にかかる初期費用の全体像
まず、購入時にどんな費用が発生するのかを整理しておきます。大きく分けると「頭金」と「購入諸費用」の2つです。
ここを分けて考えることが、あとで効いてきます。
仲介手数料や登録免許税といった購入諸費用は、物件価格が決まればおおよそ読める費用です。物件価格の6〜10%程度に収まることが多く、極端にブレることはありません。
問題は頭金です。ここは金融機関と融資条件次第で、0円にも、万円以上にもなります。
ちなみに数年前までは、諸費用まで融資してくれる金融機関(オーバーローン)も存在していたようです。ただ、近年は融資姿勢が厳しくなり、フルローン自体が出にくくなっています。物件価格の1〜2割の自己資金を求められるケースが増えている、というのが私の実感です。
では実際、私はいくら払ったのか。1棟目から公開します。
【実例①】1棟目・桶川アパート3,400万円で必要だった現金
結論から書きます。1棟目で私が実際に用意した現金は、2,179,139円でした。物件価格3,400万円に対して、約6.4%です。
まず、どんな物件をどう買ったのかを整理しておきます。
- 所在地:埼玉県桶川市/木造アパート
- 購入時期:2019年9月
- 購入価格:3,400万円
- 融資額:3,400万円(フルローン)
- 頭金:0円
物件価格の全額を融資でまかなえたので、頭金の準備は必要ありませんでした。用意したのは購入諸費用だけです。
その内訳が、こちらになります。
金額の大きい順に、いくつか補足していきます。
仲介手数料は計算式が決まっている(1,166,400円)
もっとも大きかったのが仲介手数料です。物件を紹介してくれた仲介会社に支払う費用で、上限額が法律で決まっています。
- 物件価格200万円以下の部分 → 5%
- 200万円超〜400万円以下の部分 → 4%
- 400万円を超える部分 → 3%
実務では「物件価格×3%+6万円+消費税」という速算式が使われます。3,400万円なら、こうなります。
3,400万円 × 3% + 6万円 = 108万円
108万円 × 1.08 = 1,166,400円
1.08を掛けているのは、購入したのが2019年9月で、消費税がまだ8%だったからです。いま同じ価格で買えば1.1を掛けることになるので、1,188,000円。約2万円多くかかる計算になります。
登記関連は登録免許税と司法書士報酬(合計358,338円)
登録免許税は、購入した土地・建物の所有権を自分名義に登記するためにかかる税金です。融資を受ける場合は、金融機関の抵当権を設定する登記の分も加わります。
ここで注意したいのが、計算の基礎になるのは実際の取引価格ではなく、固定資産税評価額だという点です。評価額は取引価格より低くなることが多いので、「3,400万円×◯%」で計算すると実際よりかなり多く見積もることになります。
土地の所有権移転登記には軽減措置があり、本則2.0%のところ1.5%が適用されます。この軽減措置は令和6年度の税制改正で3年延長され、令和9年3月31日までとなっています。
私の場合、登録免許税は245,370円でした。
あわせて、登記手続きを代行してくれた司法書士さんへの報酬が112,968円(税込)。この報酬額は事務所によって差があり、10万円前後が相場とされています。
融資関連費用がゼロだった理由(0円)
この物件で特徴的だったのが、ローン事務手数料もローン保証料も0円だったことです。
民間の金融機関で不動産投資ローンを組むと、借入額に一定率を掛けた事務手数料が発生するのが一般的です。金融機関によって1%台のところが多く、借入額が大きくなるほど金額も膨らみます。
保証料も同様で、一括で支払う場合は融資総額の2%程度、金利上乗せなら年0.2〜0.3%程度が目安とされています。
1棟目で借りた金融機関は、事務手数料の設定がなく、保証会社も利用しない仕組みでした。そのため、この2つがどちらも発生しませんでした。制度融資などでは、こうした扱いになることがあります。
印紙代は契約書2通ぶん(30,000円)
印紙代は、売買契約書とローン契約書(金銭消費貸借契約書)にそれぞれ貼付します。3,400万円の物件だと、内訳はこうなります。
- 不動産売買契約書(1,000万円超5,000万円以下)→ 10,000円
- 金銭消費貸借契約書(同上)→ 20,000円
売買契約書のほうが安いのは、不動産譲渡契約書には印紙税の軽減措置があるからです。本則なら20,000円のところ、軽減で10,000円になっています。こちらも適用期限は令和9年3月31日までです。
一方で、金銭消費貸借契約書はこの軽減措置の対象外なので、本則の20,000円がそのままかかります。
忘れたころに来る不動産取得税(276,500円)
個人的に一番ヒヤッとしたのがこれです。
不動産取得税は物件の決済時に払うものではなく、引渡しから半年〜1年ほど経ったころに、突然納付書が届きます。私の場合は約9か月後でした。
金額は276,500円。物件の規模や構造によって変わりますが、決して小さくない額です。決済のときに手元の現金を使い切っていると、ここでかなり苦しくなります。
あわせて、火災保険料が322,530円。地震保険付きで契約期間5年ぶんを一括前払いしたため、まとまった支出になっています。
ここまでを合計して、2,179,139円。物件価格3,400万円に対して約6.4%でした。
3,400万円のアパートを、200万円ちょっとの現金で買えたことになります。ただ、これは私が特別うまくやったからではありません。頭金が0円で済んだから、ただそれだけです。
逆にいえば、頭金が必要になった瞬間、この数字はまったく当てになりません。それを私自身、1年後に思い知ることになります。
【実例②】2棟目・所沢アパート4,300万円で必要だった現金
2棟目で用意した現金は、8,369,707円でした。物件価格4,300万円に対して約19.5%です。
1棟目が218万円だったので、およそ3.8倍。物件価格は900万円しか変わらないのに、必要な現金は桁が変わりました。
物件と融資の条件はこちらです。
- 所在地:埼玉県所沢市/木造アパート
- 購入時期:2020年11月
- 購入価格:4,300万円
- 融資額:3,870万円
- 頭金:430万円(物件価格の1割)
1棟目との決定的な違いは、頭金を1割入れる条件だったことです。
内訳を並べます。
1棟目と大きく違ったのは、次の3か所です。
頭金430万円——ここが半分を占めた
用意した現金8,369,707円のうち、430万円は頭金です。全体の約51%を占めています。
裏を返せば、購入諸費用そのものは4,069,707円。物件価格に対して約9.5%で、1棟目の6.4%からは3ポイントほどの増加にとどまっています。
融資関連費用が694,900円かかった
1棟目では0円だった項目が、2棟目では発生しました。
- 融資手数料 638,550円(融資額3,870万円 × 1.65%)
- 融資事務手数料 56,350円
合計で694,900円。1棟目ではまるごとゼロだった部分です。同じ木造アパートを買っても、借りる先が変われば70万円近い差になります。
融資手数料は借入額に率を掛けて計算されるので、物件が大きくなるほど、そして融資を多く引くほど金額が伸びます。ここは物件を見ているだけでは絶対に出てこない数字なので、金融機関が決まった段階で必ず確認しておきたいところです。
登録免許税と不動産取得税も大きく増えた
登録免許税は703,604円。1棟目の245,370円と比べて、約2.9倍になりました。
登録免許税は固定資産税評価額と借入額をもとに計算されるので、物件が大きくなり、借入額が増えれば、その分だけ素直に増えます。司法書士報酬が112,968円から162,580円に上がっているのも、登記の件数と手間が増えたためです。
そして不動産取得税が569,100円。1棟目の276,500円から、約29万円の増加です。
この不動産取得税は、繰り返しになりますが決済時には払いません。引渡しから半年〜1年後に届きます。2棟目のときは、この57万円が来ることを前提に現金を残しておきました。
まとめると、2棟目で必要だった現金は8,369,707円(物件価格の約19.5%)。うち430万円が頭金、4,069,707円が購入諸費用でした。
同じ埼玉県の木造アパートを、1年ちょっとの間隔で買った2棟です。それでも、必要な現金はここまで違いました。
1棟目と2棟目、必要な現金は619万円違った
2棟を横に並べます。ここがこの記事で一番お伝えしたいところです。
数字で並べると、はっきりします。
- 物件価格の差 900万円(1.26倍)
- 必要現金の差 6,190,568円(3.8倍)
物件は1.26倍にしかなっていないのに、用意する現金は3.8倍。物件価格と必要現金は、比例していません。
では、619万円の差はどこから生まれたのか。項目ごとに差額を出してみます。
差額619万円のうち、430万円は頭金です。全体の約7割を占めています。
次に大きいのが融資関連費用の694,900円。ここも1棟目では0円だった項目なので、実質「融資条件の違い」だけで約500万円が動いた計算になります。
一方、物件が大きくなったことで純粋に増えた費用——登録免許税、仲介手数料、不動産取得税など——は、合計しても約120万円程度です。
ここで誤解のないように補足しておくと、1棟目のフルローンが特別に良い条件だった、というだけの話ではありません。
融資が出るかどうか、いくら出るかは、物件の担保評価・築年数・構造、そして買う人の年収や勤続年数、既存の借入状況など、複数の要素で決まります。同じ人が同じ時期に申し込んでも、物件が変われば条件は変わります。
私自身、1棟目と2棟目はわずか1年2か月しか離れていません。それでも条件はこれだけ違いました。「前回フルローンだったから今回も」とは、まったく考えられないということです。
同じ4,000万円前後の一棟アパートでも、融資条件によって必要な自己資金は数百万円単位で変わる。これが、2棟買って一番強く感じたことです。
「初期費用=物件価格の7〜8%」だけでは危ない
不動産投資の記事でよく見かける「初期費用は物件価格の7〜8%」という目安。私の実額と照らすと、この数字自体は決して外れていません。
- 1棟目の購入諸費用 → 物件価格の約6.4%
- 2棟目の購入諸費用 → 物件価格の約9.5%
だいたい6〜10%のレンジに収まっていて、「7〜8%」という目安はいい線をいっています。
問題は、この7〜8%が「購入諸費用の話」であって、「必要な現金の話」ではないことです。
実際、私が2棟目で用意した現金は物件価格の19.5%でした。「7〜8%を貯めれば買える」と思って準備していたら、確実に足りていません。
諸費用率と必要自己資金率は、別の数字
ここを分けて考えることが、すべての出発点になります。
- 諸費用率 = 購入諸費用 ÷ 物件価格。物件価格が決まればほぼ読める
- 必要自己資金率 = (頭金+購入諸費用)÷ 物件価格。融資条件が決まるまで読めない
「4,000万円 × 7% = 280万円」という計算は、諸費用率の話としては正しいのですが、頭金が0%なのか10%なのか20%なのかで、実際に必要な現金はまったく変わります。
私の2棟目の諸費用率(約9.5%)を当てはめて、4,000万円の物件を頭金の割合別に試算してみます。
同じ4,000万円の物件でも、必要な現金は380万円から1,180万円まで、3倍以上の開きが出ます。
物件情報サイトを眺めているとき、この差は一切見えません。融資の話が始まって、はじめて確定する数字だからです。
必要現金は3つの層でできている
私が2棟買って整理できたのは、必要な現金は次の3つを足したものだ、という考え方です。
①と②は、物件と融資条件が決まれば計算できます。決済までに必ず出ていく、動かせないお金です。
やっかいなのが③です。これは「払わなくても物件は買えてしまう」お金だからです。
だからこそ、初期費用の計算からいちばん抜け落ちやすい。そして、抜け落ちたまま買ってしまうと、購入後に効いてきます。
見落とされがちな、3つ目の初期費用
頭金と購入諸費用。この2つを払えば、一棟アパートは買えます。決済は問題なく終わります。
ただ、2棟を約6年間運営して売却まで経験したいま振り返ると、初期費用として数えるべきものが、もうひとつあったと感じています。
それが、さきほどの3層構造でいう③、購入後に残しておく予備資金です。
これを「あったほうがいいお金」ではなく「頭金や仲介手数料と同じ、最初から用意しておくお金」として数えるかどうかで、購入後の景色はかなり変わります。
理由はシンプルで、お金が本格的に出ていくのは購入したあとだからです。
いちばん確実に来るのが、すでに何度も出てきた不動産取得税です。1棟目で276,500円、2棟目で569,100円。引渡しから半年〜1年ほど経ってから、納付書が届きます。
そして固定資産税・都市計画税は、持っている限り毎年かかります。私の2物件だと、2021年の時点で合計254,900円でした。
この2つだけで、買った翌年には数十万円が出ていくことが、購入の時点で確定しています。
正直に書くと、私は2棟目でこれをやりました
ここまで偉そうに書いてきましたが、この章の内容は私自身の反省から来ています。
2棟目を買ったとき、私は手持ち資金のほぼギリギリで決済しました。837万円は、当時の私にとって決して余裕のある金額ではありません。それでも「買えるうちに買っておきたい」という気持ちが勝ってしまいました。
そして見落としていたのは、自分の生活費のほうです。
購入したあとも、当たり前ですが毎月の生活は続きます。ところが手元には現金がほとんど残っていない。結果、こんなことをしていました。
- クレジットカードの支払いを一括から分割に切り替える
- 妻に一時的にお金を借りる
分割払いには手数料がかかりますし、家族に頭を下げるのも、正直あまり気持ちのいいものではありませんでした。
物件そのものは、問題なく回っていたんです。家賃も予定どおり入っていました。それでも、生活のほうが先に苦しくなりました。
「初期費用はいくらか」を計算していたとき、私は物件のことしか見ていませんでした。自分と家族の生活費まで含めて逆算していれば、あの数か月は避けられたはずです。
読めない支出のほうが、実は怖い
税金はまだいいほうです。金額もタイミングも事前に分かるので、備えられます。
厄介なのは、いつ来るか分からない支出のほうです。
- 入居者が退去したときの原状回復費用
- 次の入居者を決めるための募集費用・広告料
- 次が決まるまでの空室期間のローン返済
- 給湯器やエアコンなど、設備の突然の故障
私自身、保有していた6年間で空室も修繕も経験しました。家賃収入は毎月少しずつ入ってくるのに対して、これらの支出はまとまった額で、しかも重なるときは重なります。
手元に現金がない状態でこれが来ると、対応が後手に回ります。修繕を先延ばしにすれば、その分だけ空室期間が延びる。空室が延びれば、また現金が減る。この流れに入ると、なかなか抜け出せません。
最低限やっておきたい3つのこと
「いくら残すべきか」は、物件の規模や築年数、家賃水準、そして家庭の状況によって変わるので、一律の正解を出すのは難しいと思っています。
ただ、これだけはやっておいたほうがいいと感じることが3つあります。
- 不動産取得税と固定資産税の見込み額を、購入前に確認しておく
どちらも固定資産税評価額から計算できるので、仲介会社や税務署に確認すれば購入前におおよその金額が分かります。この分は「使ってはいけないお金」として、はじめから分けておきます。 - 空室が数か月続いてもローンを返済できる現金を残しておく
満室想定の家賃で資金計画を立てると、1部屋空いただけで苦しくなります。 - 生活防衛資金は、投資用の資金と完全に分けておく
私が失敗したのはここです。物件の運転資金とは別に、生活費の数か月分は最初から「触らないお金」にしておく。混ぜてしまうと、物件が順調でも生活が苦しくなります。
買えるギリギリまで自己資金を使うのではなく、購入後の運転資金と、自分の生活費を残しておく。これは、実際に痛い思いをしてはじめて実感したことでした。
初期費用で効いたのは「安い業者探し」ではなかった
初期費用を抑えたいと考えたとき、最初に思いつくのは「どこかを値引いてもらえないか」だと思います。仲介手数料を下げてもらう、保険を相見積りにする、といった発想です。
ただ、2棟ぶんの明細を並べてみて分かったのは、初期費用の大部分は、そもそも交渉できるものではないということでした。
項目を「どうやって金額が決まるか」で3つに仕分けると、はっきりします。
①は交渉の余地がありません。税額は法律で決まっているので、誰が買っても同じです。
②は多少動きます。ただ、仲介手数料には上限があり、司法書士報酬や火災保険料も相見積りで数万円〜十数万円といったところです。実際、私の2棟でも司法書士報酬の差は約5万円でした。
そして③です。私の場合、1棟目は0円、2棟目は4,994,900円。頭金430万円と融資関連費用694,900円を合わせた金額です。
②で数万円を削る努力と、③で数百万円が動く現実。桁が2つ違います。
融資条件は4点セットで見る
とはいえ、「頭金は少ないほど良い」という単純な話でもありません。
融資条件で確認すべきものは4つあり、そのうち2つが購入時の現金に、残る2つが購入後の毎月の返済に効いてきます。
頭金を入れずに買えれば、購入時の現金は少なくて済みます。ただしその分だけ借入額が増えるので、毎月の返済額は重くなります。
逆に頭金を多く入れれば、毎月の返済は軽くなりますが、購入時にまとまった現金が必要になり、手元の余裕は減ります。
つまり「頭金ゼロが得」でも「頭金を多く入れるのが安全」でもなく、どちらにも別のリスクがあるということです。融資期間が短ければ毎月の返済は重くなりますし、金利が高ければ総支払額が膨らみます。
4つをセットで見て、購入時の現金と購入後の返済の両方が成り立つかを確認する。私が2棟買って、ここが一番大事だったと感じている部分です。
1棟目をどんな条件で買って、どう運営して、最終的にどうなったのかは、こちらにまとめています。
一棟アパートを買う前に確認しておきたいお金6項目
ここまでの内容を、購入前に確認するチェックリストの形にまとめます。
大事なのは、すべて「物件を買うと決める前」に分かるということです。決済の直前に慌てて計算するものではありません。
①② まず金額を確定させる
頭金は、融資の内諾が出た段階で確定します。物件を探している段階では分からないので、金融機関の返事が来るまでは「0円かもしれないし、1〜2割かもしれない」という幅を持って考えておくのが現実的です。
購入諸費用は、仲介会社に依頼すれば購入前に見積もりを出してもらえます。私が支払った金額でいえば、物件価格の6.4%と9.5%でしたが、これは融資関連費用の有無で変わる部分です。
この2つを足したものが、決済までに必ず出ていくお金です。
③④ 購入直後に何が起きうるかを見る
購入直後の修繕は、内見のときに意識して見ておきたいところです。屋根や外壁の状態、給湯器やエアコンの年式、空室の原状回復が済んでいるかどうか。買った翌月に給湯器が壊れる可能性は、常にあります。
空室期間の返済は、自分で試算するしかありません。「満室ならこれだけ残る」ではなく、「1部屋空いたらどうなるか」「2部屋空いたらどうなるか」で計算してみると、必要な現金の感覚がつかめます。
⑤⑥ あとから来るお金と、残すお金
不動産取得税と固定資産税は、固定資産税評価額が分かれば購入前に概算できます。仲介会社に評価証明書を見せてもらうか、税務署や自治体に相談すれば教えてもらえます。
私の実額でいうと、不動産取得税は1棟目で276,500円、2棟目で569,100円。これが半年〜1年後に来ることは、購入の時点で決まっています。
そして最後の⑥手元に残す現金。これだけは、誰にも聞けません。自分と家族の生活水準を知っているのは自分たちだけだからです。
①〜⑤を足した金額に、⑥を上乗せしたもの。それが、その物件を買うために本当に必要な現金です。
この計算をしてみて「足りない」と分かったなら、それはその物件を見送るべきだ、というサインなのだと思います。物件は、また出てきます。
まとめ|「物件価格の7〜8%」ではなく、自分の融資条件から逆算する
私の1棟目は3,400万円の木造アパートでしたが、フルローンだったため、自己資金2,179,139円で購入できました。物件価格の約6.4%です。
一方、2棟目は4,300万円。頭金を1割入れる条件だったため、必要だった現金は8,369,707円。物件価格の約19.5%になりました。
物件価格の差は900万円。それに対して、必要な現金の差は619万円です。
一棟アパートの購入で大事なのは、「初期費用は物件価格の◯%」と覚えることではありません。
自分が受けられる融資額を確認して、そこから頭金+購入諸費用+購入後に残す現金を逆算する。この順番だと思っています。
物件情報サイトを眺めているだけでは、この数字は永遠に出てきません。金融機関に相談して融資条件が見えた瞬間に、はじめて確定します。
もし今、気になる物件があるなら、価格だけを見て「買えそう・買えなさそう」を判断する前に、融資の相談をしてみることをおすすめします。必要な現金が分かってから、貯めるべき金額が決まります。
そして、私が一番伝えたいのはここです。買えるギリギリまで現金を使わないこと。私は2棟目でそれをやって、しばらく生活が苦しくなりました。同じ思いをする人が減ればいいなと思っています。
あわせて読みたい
是非参考になれば嬉しいです!
